トスカーナに住むことは数少ない幸運な人の特権であり、世界中の各地で最もよく知られ評価されている観光の目的地の一つです。これは偶然ではなく、文化と文明の長い歴史のある素晴らしいこの土地の、幸運の結びつきの産物だと言えるでしょう。
たとえば広告スポットにも常に登場するように、トスカーナのシンボルの一つは歴史のあるファームハウス(Casa Colonica)です。この建築と機能性における優れたモデルは、頑強であると同時に繊細であり、現在の建築物よりもはるかに優れています。ですから何十年・何百年にも渡って建ち続けているのです。
しかし多くのファームハウスは廃墟となってしまっており、改修されていたとしてもそのほとんどが残念なことに適切でない方法で改修されています。多くの建設業者や熟練していない専門家が備えていない、文献学的、歴史学的、建築学的、そして機能的な確かな考察能力がファームハウスの改修には必要とされます。そのような考察をされずに改修されてしまったファームハウスは偽物でショッピングセンターのようであり、本物のファームハウスとは比べ物になりません。
修復や建築は、設計することもそれを実現することも同様に難しいものであり、成熟し且つ専門技術を有する、適切な能力を持つ専門家に任されるべきです。
現にこれまでの体験で、トスカーナのファームハウスがどうあるべきかを良く理解してこの仕事に取り組むためには、輝かしい学習課程を修了する、もしくは何年も建築業界で働いただけでは不十分だということが私たちに示されています。
WTHアカデミーのマスターコースのプロジェクトでは、トスカーナのライフスタイルを多くの人に認知してもらう為に、トスカーナ文化を再生し革新するという両方の視点を持ち、今までにないモデルを用いて、トスカーナの文化的側面も理解した上での綿密なコースを予定しています。
さらにこのコースの内容的・機能的な特徴を通じて、地域コミュニティの人々の知識も強化すること、そしてトスカーナ地域に存在する文化的・自然主義的・環境的に優れた重要な文化的遺産に興味を持つ国内外の多くの人々の関心を集めることを目的としています。
前述したこれらのことから、この地域の中の様々な分野の業種を組み合わせ網羅しているこのマスターコースの創設は、今日では良い機会であると同時に必要とされていることだと言えます。
「トスカーナの文化的プロダクト」の創造を目的としたこのプロジェクトは、建物の改修や修復を通じて地域発展のシステムを創りだすことです。
1つ目の分野は、ジャーナリスト・写真家・トップマネージャー・不動産と金融における専門家との授業を行います。
2つ目の分野では、修復の分野におけるトスカーナのファームハウスの専門家との授業に充てられます。
3つ目の分野では、実際に使われる再利用の技術を学び、最新の現代技術による修復の素材を実際に使うことに集中します。
全てのプロセスは、選ばれた企業の参加と共に、常にモデルハウスの歴史的背景についての全面的な考慮をもとに行われます。これらの企業は、受講者に対して、ファームハウスにおける建築技術の価値と重要性についての理解を深めることを手助けする為に、各自専門の素材や道具の説明を行うこととなります。
マスターコースは、ファームハウスの保存・修復のプロジェクトに関する論文を作成する作業をもって終了します。論文では、修復作業に関する全ての重要な点が分析されていなければなりません。また、効果的な改修のために可能と思われる全ての策が研究されていなければなりません。
論文は、最大4人のグループによって編成され、マスターコースの論文審査委員会の前でプレゼンテーション・議論されることとなります。
マスターコースは卒業者に対しプロフェッショナルレベルで価値のある参加証明書を発行します。
コースの予定参加人数は最大で20名となります。
– 建築と雑誌
– 建築と写真
– 建築と絵画
– 現代美術における素材のリサイクル
– 金融政策と銀行
– TOP MANAGER理論
– 不動産の投資
■実践的な授業
– 建築の企画・設計
– トスカーナ・イタリアの都市計画法・規則
– 地震に対する構造設計
– 技術システム(電気・水道など)の企画・設計
– インテリア家具とデザイン
– トスカーナのファームハウスの建築における歴史
– 外構・植栽計画
■現場での授業
– 各業種ごとのテーマに沿って授業が行われます。